2013/11/02

1250年前の色

国家珍宝帳プロジェクト

 国家珍宝帳(こっかちんぽうちょう)とは、正倉院におさめられた
奈良時代の第45代天皇、聖武天皇の遺愛の品のリストのこと。
約650品目が記載され、その17%ほどが現存している。

小見山二郎 東京工業大学名誉教授は、それぞれの品について色が
記され、全部で26色あることに初めて着目し、とくに多く登場する
色のひとつ、「緋(ひ)」の染色について研究した。

「緋」は赤に近い色であり、1250年以上経った今でも退色していない。

なぜかというと、染色の際に明礬(みょうばん)と酢酸カルシウムが使われているからであることを小見山教授が明らかにしました。

古典織物の研究者・中島洋一さんと草木染めの研究者・山崎和樹さんは国家珍宝帳の染織品のうち緋と紫ほか20色の再現を試みた。

中島洋一先生が織った絹の織物は、日本に残る最古種の蚕の繭から古来の方法でひいた糸を用いたもの。

昔の糸は断面がねじれていたりするが、その糸で織った布は美しく、そして不思議な光沢になる。

現代の糸はフラットなので、昔の染織技法でないと昔の色は出ないといいます。そうして織った布を、山崎和樹さんに染めていただいたそうです。



トークイベントの中で小見山先生は、
「自然の中で循環する生命の徴(しるし)を身につけるために、人は染め物を行い始めた」とおっしゃっていました。

時代によって人の認識が違う。何を認識していたか。。。


そしていちばん数が多いのが、「緋」という色。
「赤と紫は天皇の色である」ともおっしゃってました。

*****

 「緋」の色を見て感じたことは、日の丸です。
日の本= 緋の本(元)なのではないかと勝手に想像してしまいます。。。

ちなみに 「緋」の色は、布の重さ20gに対して12倍の日本茜・兵庫産(240g)
明礬(282g)、酢酸カルシウム(54g)を使用。

染料の抽出は、乾燥した茜を水に一晩浸し、根を洗い、臼でつき、
酢25mlを加えた熱湯5ℓに一時間浸して染料液を抽出したそうです。




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