2012/12/19

尊厳の芸術展 2

木製のブローチ

 収容所では17歳以下の子供が半数を占めていたとも言われ、大人たちはできるだけ普段の生活に近い環境をつくるように努めました。

子供たちの学習に遅れが生じないように、収容者が教師となって授業を行い、本の収集を呼びかけて図書館を開いたり。

ダンス、音楽、俳句、柔道などさまざまな文化、スポーツ活動が行われていました。

 未来に希望を持つことが難しい環境の中で、収容者は芸術やスポーツ活動により、つらい現実から逃れ、生きる力を取り戻すことができたのです。




左上: 糸で作った花のピンブローチ
  左下、右: ピンブローチとコサージュ
          豆、ひまわりの種、貝殻、木、紙、針金などで作成

      貝殻は地面をひたすら掘ってようやく手に入れられるものでした。


水彩で描かれた封筒  息子への手紙

  絵画やスケッチは収容所内での暮らしを知る貴重な歴史資料になっています。






左上:鶴
 メスキートの木、板材


左下:石で作った硯  

     
右:仏壇
 薪の丸太、くずの木材、金属         


 日本とアメリカは交戦状態で、収容所から出ることができない
人たちにとっては、再び故国日本に帰ることは絶望的だったかも
しれません。
しかし、故国日本の文化と伝統を忘れることはありませんでした。

厳しい生活の中でも自分たちのルーツを忘れない人間の心意気と
尊厳が伝わってきます。



日本人形: 着物の布、クレープペーパー、針金、刺繍糸、インク、木

 多くの収容所では、手先の器用な人たちが日本人形教室を開いて
その技術を伝授しました。

人形の服は収容所の住居者から提供してもらった生地などを縫い合わ
せたものです。

服装やポーズによって日本の格式や伝統を上手に表現しました。

*****

 作品を集めて回った日系3世のデルフィン・ヒラスナさんは
母の遺品を整理する中で木製の小鳥のブローチを見つけ、それが
1940年代から引き継がれていることに衝撃を受けます。

生前、母は収容所についてほとんど語ることはありませんでした。

本の執筆用に芸術作品を収集するにあたり、作品の所有者の体験談を
聞くことができました。 収容所にいた日系人のもとを訪ねる中で
親達の想いに気づきます。
それは、これからアメリカ人として生きる子どもたちが、アメリカ
に対して反感を抱かず、前向きに生きてほしいという願いでした。



 なんて発想が豊かなんだろう!!
物質の豊かさと心の豊かさは反比例するのだろうか?
と、思ってしまいました。

作品はどれも細やかで、品があります。
そして手の温もりが伝わってきて愛らしい。

隅に置かれていた作品たちが、こうして展示されて大切な役割をはたしています。

来年は福島、仙台、沖縄、広島と巡回します。
ぜひ、沢山の人に見て頂きたいと思う展覧会でした。
  





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